4. Designの解説

Design

デザインとはグランド・デザインに向かって、

  1. 戦略をたてる
  2. 目標を設定する
  3. 戦術を決める

ことをいいます。

この中で一番難しいのは戦略をたてることです。

なぜなら戦略は『目に見えない概念』だからです。世の中で『戦略』という言葉は頻用されていますが、ほとんどの場合、誤った使われ方をしています。

すなわち世の中で『○○戦略』と呼ばれる内容のほとんどは、戦術を指しています。これは戦略と戦術の区別が難しく、その定義づけすら明確ではないからです。

 

戦略と戦術の違いとは

戦略とは

戦略とは将軍の術です。すなわち資源の配分を決めることを戦略といいます。

どこに人・モノ・金を投じるか。どの事業に、参入するか?その事業に、どれだけ人や時間やエネルギーを投じるか。これを定めるのが戦略です。

戦略は、何を捨てるのかを明らかにして、何に注力するのかを定めます。何をやるのか(何をやらないのか)、何からやるのか、を決めるのが戦略です。

戦術とは

戦術とは兵士の術です。

すなわち与えられた資源を活用するための方法を戦術といいます。定められた戦略に対して、それをどう成し遂げるか?が戦術です。その事業に参入することを決め資源を決定したら、それを使ってどのように目標を達成するかの作戦が戦術です。

世の中で一般に『戦略』と呼ばれていることのほとんどは戦術に相当します。

 

「戦術は戦略に従う」

 

上記は重要な法則ですので、覚えてください。戦略は戦術の上位概念です。戦略は戦術を支配しています。

 

「戦術の誤りは戦略でカバーできるが、戦略の誤りは戦術でカバーできない」

 

このフレーズは何度も繰り返して覚えましょう。
これらのことから、リーダーとしての皆さんには是非下記をいつも自分に言い聞かせて欲しい。

それは、上流から考える

ということ。抽象度の高いレベルから下に向かって考えるのです。別の言い方をすれば
Start With WHY !です。

上流を間違えているのに、下流でいかに頑張っても無駄です。

 

Start With WHY

WHATから考えるのではなく、WHYから考える

WHATから考えるのではなく、WHYから考える

 

リーダーが現場、すなわちWhatから考えると迷路に落ちます。創造性を発揮し正しい道を進むためには何としても上流から考えるのがリーダーの責任です。

私達院長にとって必要な戦略とは?それはとても深い内容を含みますので別の機会に扱います。

皆様に学んで欲しいのは

① ランチェスター戦略

② 孫子

この二つは必須です。

あとは開業応援塾で提供してゆきますが、戦略が好きな人は、以前にも紹介した一倉定や、営業戦略なら佐藤義典の本やCDを学ぶと良いでしょう。

 

目標設定

GOALの共有がチームビルドの基本です。

ゴールの共有など当然だと思いますか?現実にはメンバー一人一人がもっているゴールは驚くほど多様です。なんとリーダーの期待とは真逆のゴールを勘違いしているメンバーすらいます。

ではゴール設定において重要なポイントとは?

 

それはゴールを明確に言語化して共有する

 

ということです。

明確に言語化するためのルールは下記を覚えてください。

 

  • Simple 単純明快であること
  • Measurable 測定できること
  • Achievable 頑張れば達成可能であること
  • Relevant  目的(Why)に向かうゴールであること
  • Time-oriented 時間の期限が明確であること

戦術を決める

戦術とは、やり方です。上手な保険証入力のやり方、漏れのないレセプト作成のやり方、患者様の支持を得る看護のやり方、色々とやり方はあります。

 

未経験者には、教育と訓練をしなくてはなりません。
教育とは、やり方を教えることです。
訓練とは、出来ないことを出来るようになるまで繰り返すことです。
教育3割、訓練7割と覚えてください。

 

メンバーが経験者・熟練者なら、ミッション・コマンド形式も有効です。
ミッションコマンドとは、最近の軍隊で使われるリーダーシップです。

目的と目標を明確に示し(SMARTに)、そして制約条件を示した上でやり方は現場に全て任せる方式です。軍隊というと、行動の一つ一つを上官の指示に絶対服従するように思いますが、それは前時代的な形式です。現代の軍人は、敵の出没は常にゲリラ的であり、敵そのものが不明確で状況の変化が非常に早いためにミッションコマンドでないと対応できないそうです。

 

例えば英国海軍特殊部隊一個小隊に下ったミッションコマンドは
『一ヶ月以内にコソボ地区の難民4万人を安全地帯に移送完了せよ』でした。
12人の海兵隊員はリーダーのもと作戦をたて、物品を調達し、役割分担し、交渉を重ねてNATOやWHO、赤十字の協力もとりつけてこれを達成しました。

 

メンバーの質が高ければ、戦術は現場に任せるミッションコマンドの方が流動的な事態への対応力が増す、ということです。

 

次回はW-DRIPのRIPの部分、Role  Integrity Process の解説を行います。