院長のための 採用・教育

I. 採用の意義について

1. 喜びの共有
独りで喜ぶよりも皆と喜ぶと、喜びが増えます。人数が多ければ多いほど、喜びは大きくなる。
これは理屈ではなく、体験でしか納得できません。
皆と喜ぶことによって、あなたは皆により大きな喜びを与えてもいます。

2. 成果をだす

一人で出来ることは、あまりにも小さい。あっという間に限界に突き当たります。
レセプト事務も、経理も、人事も何もかも独りでやっていたとしたら、幾らも成果をだすことはできません。あなたの弱みを、強みとする人はいます。その人と組んで、お互いを補いあったら 1+1=3になります。
1+1+1=5になったり7になったりする。あなたが独りでやってはなりません。

3. 成長するにも相手が必要

院長の人間的成長は、クリニックの成長に直結します。人間的に成長するためには、どうしても仲間が必要です。仲間との関係性を通じてのみ、自分を成長させることができる。
あなたが成長するとき、スタッフも必ず成長している。スタッフが成長していないとすれば、あなたも成長していない。そんな関係なのです。

4. 採用とは経営そのもの

あなたは、何をしようとしているのか?何のためにしようとしているのか?誰のためにしようとしているのか?どうやってしようとしているのか?経営の本質はここにあります。
そして、その全てが深く人と関わってくる。あなたは考える人であり、実行するのはスタッフです。採用に経営理念が現れ、採用に人間観・仕事観・価値観が反映し、採用によって実行されてゆく。
採用は頭数を揃える作業ではありません。

5. 採用は社会貢献

クリニックの社会貢献は
  1. クリニックの業務そのものによって
  2. 税金を支払うことによって
  3. 雇用を提供することによって
なされます。スタッフの後ろには、あなたが支払った給与を待つ家族がいます。世の中に雇用を創りだすということは、実はとても大きな社会貢献です。

II.採用>教育>>>解雇

1. 私達は一艘の船

船長は、あなたです。港を出港する船の目的地(ヴィジョン)は?なぜそこにいくのですか(理念)?これらが「グランド・デザイン」です。全てはグランド・デザインから始まり、全てはグランド・デザインに帰結します。
その船の中では、何を大切にし、何をいけないこととしますか(価値観・クレド)?
途中でどこに立ち寄りますか(目標)?
そして船長、あなたは誰を船に乗せますか(採用)?

2. 採用が一番大切

多数の人事エキスパートと、私の13年の経験は一致して、採用が一番重要です!
過去と他人は変えられない、未来と自分は変えられる。
「違う人」を採ってしまっては、教育のしようがありません。イスラム原理主義者に、キリスト教の教えを説くのはムリです。
それなのに、私達は採用をつい気軽に行ってしまいます。「人手が足らないから」採用する、これでは単にあなたは「人手」を得るだけです。船長として誰を船に乗せるべきなのか、誰を船に乗せてはならないのか。採用が組織をつくり、採用が発展をつくり、採用が夢を実現に導く。
採用に時間とエネルギーとお金をかけましょう。

3. 良い医療機関は良い教育機関

教育とリーダーシップは深い関係にあります。信じて任せることで人は成長します。何年もたつと、それはもうびっくりするくらい成長します。いつも誰かが誰かを教えている、そんな医療機関は間違いなく良い医療を提供しています。

4. 解雇は院長の重要業務

痛みと危険と出血を伴う解雇を断行するのは院長しかいません。最終手段である解雇を扱わずして雇用は語れない。どのようにすれば解雇を達成できるのか、しっかり学びましょう。